音楽理論実践ノート

音楽理論の土台!3和音・7thコードの構成と実践への活かし方

Tags: コード理論, 和音, 3和音, 7thコード, 基礎

音楽理論の実践ノートへようこそ。

作曲や演奏を始めるにあたり、あるいはさらに深める上で、「コード」の理解は避けて通れません。中でも、最も基本的なコードである「3和音」と「7thコード」は、あらゆる音楽の土台となります。

この記事では、3和音と7thコードがどのような音で構成されているのかを分かりやすく解説し、それが皆さんの作曲や演奏にどう役立つのか、具体的な例を交えてご紹介します。この基本的なコードの仕組みを理解することで、コード進行の理解が深まり、自分でコードを考えたり、アレンジしたりする際の強力な武器となります。

3和音の基本構成

3和音は、文字通り3つの音から構成されるコードです。基準となる音(これをルートと呼びます)の上に、3度5度の音を重ねて作られます。

ここで言う「度数」とは、ルートの音を「1度」として数え始めた、音と音の間の距離を表す考え方です。例えば、Cの音をルートとした場合、Cから数えて3番目の音はE、5番目の音はGになります。

3和音には、重ねる3度と5度の音程(音と音の距離の正確な種類)によって、主に4つの種類があります。

1. 長三和音(メジャーコード:Major Chord)

明るく響くコードです。ルートの上に、長3度完全5度を重ねます。 例:Cメジャーコード (C) * ルート:C (ド) * 長3度:E (ミ) - Cから長3度上の音です。 * 完全5度:G (ソ) - Cから完全5度上の音です。 構成音:C - E - G

DAWでCメジャーコードを打ち込む場合、C、E、Gの3つの音を同時に鳴らしてみましょう。ピアノやギターでCコードを押さえる際にも、これらの音が鳴っていることを意識してみてください。

2. 短三和音(マイナーコード:Minor Chord)

暗く、あるいは切なく響くコードです。ルートの上に、短3度完全5度を重ねます。 例:Cマイナーコード (Cm) * ルート:C (ド) * 短3度:E♭ (ミ♭) - Cから短3度上の音です。 * 完全5度:G (ソ) - Cから完全5度上の音です。 構成音:C - E♭ - G

メジャーコードとの違いは、真ん中の音が半音下がっている点(長3度か短3度か)です。このわずかな違いが、コードの響きの印象を大きく変えるのです。

3. 増三和音(オーギュメントコード:Augmented Chord)

浮遊感や不安定さを持つ響きのコードです。ルートの上に、長3度増5度を重ねます。 例:Cオーギュメントコード (Caug) * ルート:C (ド) * 長3度:E (ミ) * 増5度:G♯ (ソ♯) - Cから増5度上の音です。 構成音:C - E - G♯

4. 減三和音(ディミニッシュコード:Diminished Chord)

緊張感や不安定さを持つ響きのコードです。ルートの上に、短3度減5度を重ねます。 例:Cディミニッシュコード (Cdim) * ルート:C (ド) * 短3度:E♭ (ミ♭) * 減5度:G♭ (ソ♭) - Cから減5度上の音です。 構成音:C - E♭ - G♭

これら4つの3和音は、コードの最も基本的な種類です。それぞれの構成音と響きを理解することが、次のステップである7thコードの理解につながります。

7thコードの基本構成

7thコードは、3和音にさらに1つの音(7度の音)を加えた、4つの音から構成されるコードです。これにより、3和音よりも豊かな響きや複雑なニュアンスが生まれます。

7度にもいくつかの種類がありますが、ここでは主要なものをご紹介します。

1. 長七の和音(メジャーセブンスコード:Major 7th Chord)

穏やかで洗練された響きを持ちます。長三和音の上に、長7度を重ねます。 例:Cメジャーセブンスコード (CM7) * ルート:C (ド) * 長3度:E (ミ) * 完全5度:G (ソ) * 長7度:B (シ) - Cから長7度上の音です。 構成音:C - E - G - B

2. 短七の和音(マイナーセブンスコード:Minor 7th Chord)

ジャズやフュージョンなど、様々なジャンルで頻繁に使われる、柔らかく落ち着いた響きです。短三和音の上に、短7度を重ねます。 例:Cマイナーセブンスコード (Cm7) * ルート:C (ド) * 短3度:E♭ (ミ♭) * 完全5度:G (ソ) * 短7度:B♭ (シ♭) - Cから短7度上の音です。 構成音:C - E♭ - G - B♭

3. 属七の和音(ドミナントセブンスコード:Dominant 7th Chord)

強い緊張感があり、次に進みたい、解決したいという強い方向性を持つコードです。長三和音の上に、短7度を重ねます。 例:Cセブンスコード (C7) * ルート:C (ド) * 長3度:E (ミ) * 完全5度:G (ソ) * 短7度:B♭ (シ♭) - Cから短7度上の音です。 構成音:C - E - G - B♭

ポップスやロック、ブルースなどで非常に重要視されるコードです。Cm7との違いは3度(長3度か短3度か)です。

4. 短七減五和音(マイナーセブンフラットファイブコード:Minor 7th flat 5 Chord)

ハーモニックマイナースケールなどから生まれる、やや暗く不安定な響きのコードです。「ハーフディミニッシュコード」とも呼ばれます。減三和音の上に、短7度を重ねます。 例:Cマイナーセブンフラットファイブコード (Cm7(♭5)) * ルート:C (ド) * 短3度:E♭ (ミ♭) * 減5度:G♭ (ソ♭) * 短7度:B♭ (シ♭) 構成音:C - E♭ - G♭ - B♭

5. 減七の和音(ディミニッシュセブンスコード:Diminished 7th Chord)

非常に不安定で、強い緊張感を持つコードです。減三和音の上に、減7度を重ねます。 例:Cディミニッシュセブンスコード (Cdim7) * ルート:C (ド) * 短3度:E♭ (ミ♭) * 減5度:G♭ (ソ♭) * 減7度:B♭♭ (シ♭♭、つまりラ) - Cから減7度上の音です。 構成音:C - E♭ - G♭ - A

これらの7thコードは、3和音では表現できない豊かな響きと機能を持っています。特にM7, m7, dom7の3つは非常によく使われますので、構成音をしっかり理解しておくと良いでしょう。

実践への活かし方

コードの構成音を知っていることは、作曲や演奏の様々な場面で役立ちます。

1. コード譜の理解と演奏

コード譜を見て、それがどのような響きを持つコードなのかを具体的にイメージできるようになります。例えば、「Am7」と書かれていたら、「A (ラ)」「C (ド)」「E (ミ)」「G (ソ)」という音が鳴るんだな、と分かります。これは、楽器でコードを押さえる位置を覚えたり、DAWで打ち込む際に音を確認したりする上で非常に役立ちます。

2. メロディーやベースラインへの応用

コード構成音は、そのコードが鳴っている時に最も自然に響く音です。メロディーを作る際に、コード構成音を意識的に使うことで、コードとの馴染みが良く、安定したメロディーラインを作りやすくなります。

例:Cメジャーコードが鳴っている部分で、C、E、Gの音をメロディーに取り入れる。

(コード:C)
メロディー:C - E - G - E - C

これは非常にシンプルな例ですが、コード構成音を土台にすることで、メロディーがコードとしっかりと結びつきます。ベースラインを作る際も、ルート音を基本としつつ、3度や5度の音を加えることで、より音楽的なラインを作ることができます。

3. コード進行の理解

コード進行は、コードからコードへの流れです。それぞれのコードがどのような構成音を持ち、前のコードとどのように音が変化しているのかを理解することで、なぜそのコード進行が心地よく響くのか、あるいは不安定に響くのかを深く理解できるようになります。これは、既存のコード進行を分析したり、自分で新しいコード進行を考えたりする際に非常に重要です。

例:定番のコード進行 C - G - Am - F * C: C - E - G * G: G - B - D * Am: A - C - E * F: F - A - C

この進行で、各コードの構成音を追ってみると、いくつかの音が前のコードと共通していることに気づくかもしれません(例:CとAmはCとEが共通)。このような共通音や、音が滑らかに繋がる動き(例えばGのF#がAmのAに繋がるなど)が、コード進行をスムーズに聴かせる要因の一つとなります。構成音を意識することで、このような音の流れをより明確に捉えることができます。

4. アレンジやボイシングへの応用

コードの構成音を知っていると、単にコードを押さえるだけでなく、どの音をどの高さで鳴らすか(ボイシング)を意識できるようになります。例えば、ピアノでCメジャーコードを弾く際に、C-E-Gの順に弾くだけでなく、E-G-Cのように音の並びを変えたり、低いCと高いE-Gを組み合わせたりすることで、同じCメジャーコードでも様々な響きを作り出すことができます。これは、音楽に奥行きや個性を加える上で非常に役立ちます。

まとめ

この記事では、音楽の基本的なコードである3和音と7thコードの構成音について解説しました。

これらのコードがどのような音でできているかを知ることは、コード譜の理解、メロディーやベースライン作り、コード進行の分析、そしてアレンジやボイシングの幅を広げる上で、音楽制作や演奏における強力な土台となります。

まずは、お手持ちの楽器やDAWで、よく使うコード(C, G, Am, Fなど)の構成音を確認し、実際に音を鳴らして響きを確かめてみてください。この基本的な理解が、今後の音楽理論の学習や、皆さんの音楽表現を豊かにすることに繋がるでしょう。