音程（インターバル）を理解！メロディー作りとコード把握に役立てる実践ガイド
音程（インターバル）を理解！メロディー作りとコード把握に役立てる実践ガイド
音楽理論の実践ノートへようこそ。この記事では、音楽の最も基本的な要素の一つである「音程」、別の呼び方では「インターバル」について解説します。
音程と聞くと難しく感じるかもしれませんが、これは「二つの音の間の距離」のことです。なぜこの音程の理解が重要なのでしょうか？それは、メロディー作りやコードを理解する上で、まさに土台となる知識だからです。音程を知ることで、なぜ特定の音が心地よく響くのか、なぜそのコードがそのような響きになるのかが分かり、より意図を持って作曲や演奏ができるようになります。
この記事では、音程の種類をやさしく解説し、それがどのようにメロディー作りやコードの理解、さらには実際の演奏やDAWでの作業に役立つのかを具体的にご紹介します。
音程（インターバル）の基本：二つの音の「距離」
音程は、基準となる音から数えて、その音を含めていくつ目の音かという「度数」と、その距離がどれくらい離れているかを示す「種類」で表されます。
例えば、ド（C）を基準にした場合：
- ドからドは「1度」
- ドからレは「2度」
- ドからミは「3度」
- ドからファは「4度」
- ドからソは「5度」
- ドからラは「6度」
- ドからシは「7度」
- ドから高いドは「8度」（オクターブ）
となります。これが「度数」です。
さらに、同じ「3度」でも、ドからミ♭とドからミでは響きが違いますね。これは度数に加えて「種類」があるからです。
基本的な種類には「完全（Perfect: P）」、「長（Major: M）」、「短（minor: m）」があり、そこから半音変化して「増（Augmented: A）」や「減（diminished: d）」が生まれます。
- 完全音程: 1度, 4度, 5度, 8度（基準となる長音階や短音階で自然に現れる基本的な響き）
- 長音程: 2度, 3度, 6度, 7度（基準となる長音階で現れる明るい響き）
- 短音程: 長音程を半音狭くしたもの（基準となる短音階で現れるやや暗い響き）
- 増音程: 完全音程または長音程を半音広くしたもの
- 減音程: 完全音程または短音程を半音狭くしたもの
例： * ドからド → 完全1度 (P1) * ドからレ → 長2度 (M2) * ドからミ♭ → 短3度 (m3) * ドからミ → 長3度 (M3) * ドからファ → 完全4度 (P4) * ドからソ → 完全5度 (P5) * ドからラ♭ → 短6度 (m6) * ドからラ → 長6度 (M6) * ドからシ♭ → 短7度 (m7) * ドからシ → 長7度 (M7) * ドから高いド → 完全8度 (P8)
最初のうちは、特に長3度(M3)、短3度(m3)、完全4度(P4)、完全5度(P5)、短7度(m7) あたりを意識してみましょう。これらはコードやスケールの基本を理解する上で非常に重要です。
実践！音程をメロディー作りに活かす
メロディーは、基本的に音程の連続です。隣り合った音の音程（二音間隔）を変えることで、メロディーに様々な表情や動きが生まれます。
- 順次進行: 2度以内の音程で滑らかに進む動き。「ド→レ」「ミ→ファ」など。落ち着いた、歌いやすいメロディーになります。
- 跳躍進行: 3度以上の音程で飛ぶ動き。「ド→ミ」「ファ→シ♭」など。メロディーに動きや力強さ、あるいは驚きや不安定さを与えます。特に長3度(M3)や完全5度(P5)の上行は明るく希望的な、短3度(m3)の下行は物憂げな印象を与えるなど、特定の音程は感情と結びつきやすい傾向があります。
例えば、「きらきら星」の冒頭「キラキラ光る」は「ド→ド→ソ→ソ」ですね。最初の「ド→ド」は同じ音（ユニゾン、完全1度）。次の「ド→ソ」は完全5度(P5)の跳躍。そして「ソ→ソ」はユニゾンです。この完全5度の上行が、「きらきら」という明るく弾むイメージに貢献しています。
一方、「故郷」の冒頭「うさぎ追いし」は「ミ♭→レ♭→ド→シ♭」。これは全て短2度(m2)（半音）または長2度(M2)（全音）の順次進行ですね。このようにゆっくりと滑らかに降りていくメロディーは、落ち着いた、郷愁を誘う雰囲気になります。
DAWのピアノロール画面では、ノート（音符）の距離が視覚的に音程として表示されます。メロディーを入力する際に、隣り合う音符がどのくらいの距離（音程）で離れているかを意識すると、狙った雰囲気のフレーズを作りやすくなります。
実践！音程でコードの仕組みを理解する
コードは複数の音が同時に響くものですが、その響きを決定づけているのは、ルート音（根音）からの各音の「音程」です。
最も基本的なコードである「トライアド（三和音）」を見てみましょう。
- メジャートライアド（長三和音）: ルート音から長3度(M3)上と、ルート音から完全5度(P5)上の音を組み合わせたもの。明るい響き。「Cメジャー」はC(ルート)から長3度上のE、Cから完全5度上のGの組み合わせです。（C - E - G）
- マイナートライアド（短三和音）: ルート音から短3度(m3)上と、ルート音から完全5度(P5)上の音を組み合わせたもの。暗い響き。「Cマイナー」はC(ルート)から短3度上のE♭、Cから完全5度上のGの組み合わせです。（C - E♭ - G）
このように、ルートからの3度の音程が長3度か短3度かで、コードがメジャーかマイナーかが決まります。
さらに、セブンスコードなどの複雑なコードも、基本的にはルートからの音程で定義されます。
- ドミナントセブンスコード: ルート, 長3度(M3), 完全5度(P5), 短7度(m7)。「C7」はC - E - G - B♭の組み合わせです。（CからB♭は短7度）
コード進行を考えるとき、単にコードネームを並べるだけでなく、それぞれのコードがルートからどのような音程で構成されているかを理解すると、より深く響きを理解できるようになります。例えば、Cmaj7(C-E-G-B) → Fmaj7(F-A-C-E) という進行では、コードが変わる瞬間にそれぞれの構成音がどのように動いているか（例えばCからFへの完全4度、EからAへの完全4度など）を意識すると、スムーズなボイシングを考えるヒントにもなります。
楽器での実践とDAWでの確認
- 鍵盤楽器: 隣り合う鍵盤の距離や、白鍵と黒鍵の位置関係から、音程を視覚的に把握しやすいです。例えば、CからEは白鍵だけで2つ飛び（長3度）、CからE♭は真ん中の黒鍵を挟んで1つ飛び（短3度）といったように、鍵盤上の位置で音程の感覚を掴む練習ができます。
- ギター: フレット間の距離が半音に対応します。特定の弦でルート音を弾き、そこから何フレット離れた音が特定の音程になるかを覚えることで、音程を理解できます。例えば、5弦のC（3フレット）から始めると、同じ弦の7フレットはCから長2度上のD、8フレットは短3度上のE♭、9フレットは長3度上のE、10フレットは完全4度上のF…といった具合です。
- DAW: ピアノロール画面で、音符の縦方向の距離が音程を表します。コードを入力する際に、ルート音に対して他の音がどの鍵盤の位置にあるかを見ることで、視覚的に音程を確認できます。また、メロディーを入力する際も、前後の音符の距離を意識して配置してみましょう。
まとめ：音程理解が音楽を深める
音程（インターバル）の理解は、音楽理論を学ぶ上での第一歩であり、同時に作曲や演奏を実践する上での強力な味方になります。
- メロディーを意図した雰囲気で作りたいとき
- コードの響きの違いを理解したいとき
- 耳コピでコードやメロディーの構成音を正確に捉えたいとき
音程の知識は必ず役に立ちます。
まずは、最も身近なコード（Cメジャー、Amなど）や簡単なメロディー（童謡など）を例に、それぞれの音の間隔がどのような音程になっているかを確認することから始めてみてください。そうすることで、点と点だった音が線でつながり、音楽がより立体的に見えてくるはずです。
この記事が、あなたの音楽制作や演奏の一助となれば幸いです。